中小企業のIT化で起きたトラブル事例と対処法

これからIT化を積極的に進めたいと考えている中小企業、IT化を進めることによって様々な問題を解決したいと考えている中小企業は少なくないでしょう。

たしかにIT化をすることにより様々なことを便利にできるのは事実。一方で、トラブルの原因となることもあります。今回はIT化をする過程において発生する可能性のあるトラブル事例とその対処法について解説します。

中小企業でのIT化にはトラブルがつきもの

IT化を進めるにあたりトラブルが発生するイメージはないかもしれません。しかし、中小企業のIT化では多くのトラブルが発生します。まずはIT化においてトラブルはつきものであることを理解していきましょう。

トラブルなしで完了するプロジェクトは存在しない!?

中小企業でのIT化は様々なケースがあります。多くのお客様のサポートをしてきた経験から言えるのは、「IT化においてトラブルなしで完了するプロジェクトは存在しない」ということです。

中小企業は、大手企業ほど要望が複雑ではないため、トラブルが発生しにくくIT化がスムーズに進むと思われている方がいらっしゃいます。しかし、それはイメージだけであり、中小企業のIT化でも大なり小なりトラブルが発生します。

トラブルが発生する前提で物事を考える

IT化を推進する場合は、多少なりともトラブルは発生するものという前提で物事を考えていくといいでしょう。この前提が無ければ、後になって対応に手間がかかることになりかねません。

中小企業のIT化では「トラブルなく進められる」と自信を持っているお客様もいます。しかし、そのように考えていると万が一トラブルが発生したときにあたふたしてしまいます。逆に多少なりともトラブルが発生する前提であればリスクを考慮することが可能です。日程に余裕を持たせることも可能でしょう。トラブルを前提に置くことが大切です。

中小企業のIT化で発生するトラブルと対処法

中小企業のIT化ではどのようなトラブルが発生するのでしょうか。具体的なトラブルとその対処法について解説をします。

トラブル事例1:IT化を進める対象を見極められない

IT化する対象を見極められないといったトラブル事例が多数見受けられます。

なんとなくIT化を目指したいとは考えているものの、実際に何をIT化すればよいのかイメージできていないのです。「IT化したい」という気持ちだけが強くなって空回りしてしまい、結果として具体的には何も進められないトラブルです。

経験がないとIT化の道筋を描くのは難しいことです。実際にチャレンジしたことがある人もいるかもしれませんが、IT化の道筋を立てることは並大抵のことではありません。そこで活用してもらいたいのがITコンサルタントです。

ITコンサルタントに依頼をすればIT戦略などIT化の道筋を策定してもらえます。大まかな道筋を示してもらい、それをベースにIT化する対象を見極めるとトラブルが起きにくくなります。経験がないスタッフだけで最初からIT化の対象を見極める場合と比較すると良い結果になることは言うまでもありません。

トラブル事例2:適切な発注先が判断できない

IT化を進めようとしてもどこに何を発注すれば良いのか判断できないトラブル事例もありました。やりたいことは決定しているにも関わらず、実際に仕事をしてもらうベンダーが決定できないケースです。

世の中には様々なITベンダーが存在しています。それぞれに独自の特徴がありますので、それを理解してどこに発注するかを考えなければなりません。仮にIT戦略を策定してもらったとしても、ベンダーを選定する力がなければ前に進めることは難しいでしょう。

このトラブルを早期に解決したいのであれば、ITコンサルタント会社のベンダー選定支援などの活用が有効。ITコンサルタント会社の経験を元に、どこのベンダーに発注するべきであるのかを選定する支援をしてもらうのです。また思うようにベンダーからの見積もりが取れないのであれば、RFPの作成に問題があることも考えられますので作成支援を依頼するのも良いでしょう。

他にも、パッケージ製品の利用を検討しているのであれば、パッケージ評価も協力してもらえます。パッケージ選定もトラブルの原因となりやすい部分ですので、自社だけで内容を評価するのではなくITコンサルタント会社の支援を受けることも考えましょう。

トラブル事例3:予想よりも高額な見積もり

中小企業ではITに対応するための予算がイメージできていないことがあります。

そのため、実際にIT化に関連する見積もりを取得した際に、予想より高額で発注できないトラブルがありました。大手企業なら支払いができるような金額でも、中小企業では大きな負担となる見積もりが提示されてくるケースも多々あります。

実際にその見積もりが高額なものかは一概に判断ができません。単純に発注する側が金額の相場を理解できていないだけのこともあります。これが原因でトラブルを生み出してしまうことはありますので注意は必要です。そういった意味では、見積もりを取得する前にある程度の相場を調査しておくのが良いでしょう。

コンサルティング会社にIT戦略の策定を依頼したのであれば、見積もりの妥当性評価も依頼できるはずです。提示してもらった道筋を実現するために適切な費用が請求されているかの判断をしてもらえます。コンサルティング会社を利用している場合には、このような評価をしてもらうことでトラブルは少なくできます。もしコンサルティング会社を利用していないのであれば、ベンダーから詳しく説明を受けて判断をするしかありません。

トラブル事例4:想定とは違うものが出来上がる

IT化を進める過程で発生することの多いトラブル事例が、システム開発を進めていくにつれて想定とは違うものが出来上がることです。

これは中小企業だけではなく、どのような企業でシステム開発を進めても発生する可能性のあるトラブル事例です。IT化を進めたいのであれば常に考慮しておく必要があります。

IT化を推進する際、ベンダーとどのようなシステムを開発したいかを決定します。一般的には「要件定義」や「基本設計」と呼ばれる過程です。この過程で求めるシステムの概要を合意します。このタイミングで設計書を完成させて、後はその設計書に沿ってシステムは開発されていくと考えましょう。

ただ、設計書が完成したからといって後の作業をベンダー任せにしていると、途中から想定とは違うものが生み出されていくことがあります。マイルストーンなど依頼側とベンダー側との確認の場で思い描いていたものと違う方向に進んでいることを知ることもあります。タイミングによっては大きな手戻りとなってしまい、必要以上に多くの費用が発生してしまうなどのトラブルが発生する原因ともなります。

このようなトラブルを発生させないようにするためには、全てをベンダー任せにしないことが重要です。IT化はベンダー中心に進めてもらうものではありますが、それでも丸投げ状態になるのは避けなければならないことです。丸投げ状態を避けるために、例えば会議体を決めておくなど積極的にIT化に参画する姿勢が必要です。ITに明るくなくとも積極的に参画することで認識違いのトラブルを防げます。

設計書があったとしても人間ですので認識齟齬が発生する可能性は十分あります。それに気づかないまま、IT化を実現するためのシステムが開発されてトラブルになることもあります。可能な限りトラブルを防ぐためにも、ITに明るくなくともベンダーと積極的に情報交換の場を設けるなど、IT化に参画する姿勢が大切です。

トラブル事例5:ベンダーコントロールが上手くいかず遅延や追加工数が発生する

ベンダーに作業を多数依頼している場合、ベンダーコントロールが上手く進められずに遅延や追加工数が発生してしまうトラブルが起こる可能性があります。ベンダーコントロールは慣れてないとトラブルが発生しやすい部分でもあります。

基本的に複数のベンダーへの依頼が必要なIT化の場合、企業側がベンダーコントロールをします。それぞれが勝手に日程を調節してくれるようなことはなく、依頼している側が中心となって日程調節などのコントロール作業をしなければなりません。例えば複数のベンダーで一つのテストを実施する場合には、それぞれのベンダーへの日程調節と確定作業を依頼者がしなければなりません。

コントロールするだけであれば難しいものではないのですが、IT化となると専門知識や経験が問われることがあります。ただ単にベンダーや人をコントロールするだけでは円滑に進められないことがあるのです。そのため、意外とベンダーコントロールはトラブルが発生する原因となっています。トラブルが発生して、IT化の予算を超えるような費用が請求されるという別のトラブルに発展してしまうケースもあります。

ITの専門家ではなくともベンダーコントロールを適切に進められる人もいます。しかし、不安を感じるのであれば、最初から第三者のITコンサルタント会社などにベンダーコントロールも依頼してみると良いでしょう。ITの専門家が豊富な経験と共にベンダーコントロールを実現してくれます。

IT化に限らない話であればベンダーコントロールは難しくないと軽く考えていることもあります。しかしITのように専門知識が問われるベンダーコントロールでは思い通りにならないこともあります。トラブルを発生させないためにも、最初はITコンサルタントなど専門家に依頼をしてサポートしてもらうことも検討してみましょう。

よくあるトラブルを理解して中小企業のIT化はリスク低減を意識する

中小企業でIT化を進めるにあたりトラブルが発生しないことはほぼありえません。このことはIT化を進めたいと考えるすべての企業が理解しておくべきことです。リスクなくIT化を進めることは夢物語でしかありません。

逆にIT化にあたりトラブルが発生することを理解していると、万が一トラブルが発生したときも冷静に対応が可能です。トラブルが発生するリスクを考慮できていれば、IT化のスケジュールに余裕をもたせるなど対策が可能なのです。特によくあるトラブルを理解しておけば、どの程度のリスクを見込んでおけば良いのかを判断することも可能です。

また、トラブル事例を知ることによってトラブルを未然に防ぐ活動も可能です。発生する可能性のあるトラブルを理解していれば、それらに対して事前に対策を打つことも可能となります。トラブルが発生してから対応するのではなく、発生させないように努力することもできるのです。

もちろん、どんなに対策をしてもトラブルが発生する可能性をゼロにはできません。IT化においてトラブルが発生する可能性はあります。